« 2010年6月 | トップページ | 2010年8月 »

2010年7月

熱海の踊り子

Photo_4

「熱海に行かないか」
と友達に誘われたのは、少し肌寒くなり始めた11月のことだった。
「なんで熱海なの?」
「さびれたところがいい」
 当時失恋したばかりだった友人は、つげ義春の漫画を読んでいたりして、寂しさに思う存分ひたりたかったようだ。
 結局定職にもつかずヒマをもてあましていた野郎ども五人で熱海に行くことになった。
 電車がトンネルを抜けると、そこは熱海だった。
 宿の近くにうらさびれた風俗店「みなと」を見つけた我々一行は、呼び込みの男に促されるまま座敷へ通された。しばらく待つと、60~70代とおぼしき老婆が茶を入れに来た。
 

 「もうちぃと、お待ち下さい。」 

老婆は廊下にひざまずき、恭しく頭を垂れると、襖を閉めた。

 やや間があり、再度件の老婆がやってきた。心なしか皺だらけの頬に赤みが差しているのをぼくは見逃さなかった。

 彼女は我々の目の前に立ち、歳の割に鋭い眼光で全員と目を合わせた。そして太い息を吐いてから、やおら着物を脱ぎ出した。

「おまえかいっ!」 一同申し合わせかのように抜群のタイミングでツッコミを入れる。

 そして老婆は生まれたままの姿を惜しげもなく披露し、紫の風呂敷包みから吹き矢を取り出した。さらにぼくが秘かに持ち込んで飲んでいた発泡酒の缶を目ざとく見つけて取り上げた。

「す、すいません」

老婆は黙ってうなずくと、その缶を部屋の端に置き、自分はじりじりと反対側へ後ずさった。ぼくは胸騒ぎがして鼓動が早くなった。もちろん興奮したためではない。

 老婆は吹き矢を局部に挟むと両手両足で畳みに踏ん張り仰向けになった。つまり、プロレスラーがやるブリッジのできそこないのような格好だ。老婆は眉間に皺を寄せてフンと鼻息を吐き出して局部から矢を放った。結果、見事缶に命中した。

Photo_2

「おぉー」 一同そろってどよめく。

老婆は我々の反応に気を良くしたのか、続けざまに三、四発矢を吹き、いずれも命中させた。

 次に、釣り糸を巻いたリンゴを一個取り出して、これも局部に挟み、糸の端をぼくに持たせると、思いきり引っ張れという。老婆はまたブリッジした。ぼくはあまり気乗りせずためらっていた。すると、老婆はぼくを冷たい目で見て、無言で顎をしゃくった。「早くしろ」ということだろう。なんでこんなところでこんなことをせなあかんのかと思いながらも、観念して目を閉じ、力任せに引っ張った。リンゴは哀れ真っ二つ。リンゴだって死に様は選びたかろうに・・・。

Photo_3

 老婆は粛々と芸をこなしていく。

 最後に書道具一式を取り出すと、巻物状になった半紙の端をパンとはたくようにした。半紙がくるくるくるーっと我々の方に転がり、ぼくの膝に当たって止まった。老婆の前にけがれのない真っ白なキャンバスができた。我々は老婆が何を書くのか気が気じゃない。もう見ないで帰っちゃってもいいような気がするが、ここまできたら最後まで見届けねばならない。座をピリピリとした緊張感が満たした。

ゴクン

誰かが唾を飲み込む音がした。くどいようだが、興奮したためではない。

老婆はこれまた局部に挟んだ筆で一筆、


           

              

 
 

 と書いた。ミミズが這ったような筆跡だった。帰る道々、誰かが「なんで夢なんだろう?」と言った。誰も答えなかった。

P.S.呼び込みの男は老婆の息子だった。

| | トラックバック (0)

ここが変だよ、マイケル!

 通勤中、山手線の車内でついこないだまでしょっちゅう見ていた広告がある。色づかいが派手で黒地にピンクで、いかにも毒持ってる爬虫類を彷彿とさせるので、それでつい見てしまうせいもあるが、何よりキャッチコピーのインパクトがすごい。

-私は7歳の時、父に母を殺され、誰とも話せなくなりました-

 思わず息を飲んでしまう。そりゃ、人間不信になるよ、マイケル、キミでなくても・・・
 

 で、よくよく読んでみると、なんてこたぁない自己啓発本の宣伝で、要するにポジティブシンキングで成功しようとか、人を思い通りに動かそうとかそういうアレなわけです。著者のマイケル・ボルダックのエピソードが本当だとすれば、こんなに深刻な人間不信になりやすい人っていないわけで、その人が説くコミュニケーションスキルってどんなだろ?と興味が湧かなくもないが・・・ないが・・・

 普通、こんな生い立ちだと大人になってもっとボランティア色の強い仕事をしたりしそうだけど、思いっきりリアリストなところがアメリカ人だなーと感心。元とらないとね、成功して。

-1063人の収入をわずか60日で41%増加させた-

とかものすごく現世利益ばりばりなところが笑える。この中途半端な数字がまたいい。リアリティを感じそうで感じない。だいたい60日で半分収入上がるってどんな職場だよ、マイケル・・・

 しかも分母がわからない。10万人レクチャーしたうちの1063人かもしれないしな・・・

ま、百聞は一見に如かずと言うから、そのご尊顔を見てみよう。

後は各自判断してほしい。

Photo_2

やっぱ怪しいわ。

| | トラックバック (0)

好きすぎて・・・

Photo_2

【好きになりすぎて…ポストに尿かけた男逮捕】

一方的に好意を寄せた女性(27)の家の玄関ポスト内に何度も尿をかけたとして、千葉・野田市のトラック運転手・尾嶋友樹容疑者(22)が器物損壊の疑いで逮捕された。2人に面識はなく、女性はストーカー被害の相談をしていたという。

 警察の調べに対し、尾嶋容疑者は「好きになりすぎてやってしまった。8月から約10回やった」と話している。

本当に人を好きになったことのない奴にはわからないだろうな、何度もポストに尿をかけたくなる気持ちは・・・

| | トラックバック (0)

今、そのへんにある危機

 料理をする人には言わずもがなの忠告だが、キッチンは危険で満ち満ちている。いや、危険しかないと言っても過言ではない。

 カボチャやニンジンのような固い野菜を切る時に、手元が狂って爪を削いでヒヤヒヤしたり、大根をおろしている時に気を抜いて雪のように白いおろしたての大根の上に鮮血がしたたるような思いをしたのは私だけではないはずだ。

当然、グリルを使う際にも細心の注意が必要だ。

Photo  Photo_2

 ・・・グリルの上の部分って、かなり熱くなるよね。

 この後、溶け落ちたプラスチックを片付けもせずに、真下だけ避けて魚を焼き続けたら、プラスチックが燃えて火柱が上がったのでくれぐれも注意してほしい。こんな思いをするのは私だけでたくさんだ。

 P.S.コンロが炎上している写真も載せたかったが、本気で焦ったので写真は撮っていない。

| | トラックバック (0)

飛べない鳥はただの鳥

職場からの帰り道、公園の横を通り掛かると妙な光景に出くわした。サムライブルーのユニフォームを着た子どもたち二人(小一ぐらい。以下それぞれサムラ イ、ブルーと呼ぶ)の足元でカラスが這いつくばっている。近寄ってみると、サムライ&ブルーが哀願するような目でおれを見る。

「どしたの?」

「足、ケガしてるみたい」

 サムライがカラスを指さす。

Photo_2

 カラスは羽根をバタつかせるものの、足で立つことが出来ないので羽ばたけない。自分が飛べ ない理由もわからずに懸命にバサバサやってるカラスがなんとも不憫。でもつい最近カラスに頭を蹴られたばかりで、子どもらほど優しい気持ちにはなれない。

「動物の医者に連れてかないと無理だな。」

 用を足して戻って来ると、サムライがいなくなっている。
 すぐ裏手の都営住宅に走っていくサムライの後ろ姿が見える。

「相棒帰っちゃったの?」

「お母さんに言いに行った」

 出た!伝家の宝刀、「親に言う」。確かに事態は小一のキャパを超えている。ブルーの頭からは今にも煙が出そうだ。
  ブルーは心配そうにカラスを見守っている。近頃の子どもというと、冷たい顔してDSやってるイメージしかないけど、やっぱり子どもってピュアなんだな。瀕 死の動物に心を痛めているのが伝わってくる。まだ目の前で大きな生き物の死を見たことがないのかも。

 おれはブルーの肩に手を置く。

「かわいそうだけどさ、飛べない鳥はただの鳥だよ」

なんかどっかで聞いたふうなセリフだけど、けっこう気の利いたこと言ったつもり。
ブルーは少し固まってから、おれを見上げる。

「・・・じゃあ、飛べる鳥は?」

ムッキー!小一のくせに揚げ足取りやがって!

Photo_5

すかさずブルーの頭をひっぱたく。天使の輪が三重にかかっている。キューティクルにコーティングされているというより、キューティクルそのものが 生えているような髪の毛。ブルーに恨めし気な視線を浴びせられて困っていると、サムライが足取りも重く戻って来る。

「サムライ、お母さんなんだって?」

「無理!」

親にそう言われたんだと気づくのに少し時間がかかった。子どもは言葉が足りない。台所で夕食の準備に追われてる母親が、サムライの訴えを聞き終わ る前にこんなふうに言ったんだろう。

「無理!カラスの世話なんてできるわけないでしょ!お祭りで買った金魚だってすぐ死なせちゃったくせに。ぜったい無理!」

 子どもたちはカラスがもがいているのを切なそうに見ている。なんとかしてやりたくても獣医に診せるような金はないし、第一、生理的に手でつかむ のも抵抗がある。カラスは見る角度によって黒に見えたり、紫に見えたりする。目にはまだ光を宿している。
 結局、犬の散歩中のおじさんが植え込みの陰の目立たないところに運んでくれて、様子見というかあきらめモードに。明日エサと水でも持ってきてや ろう。

 翌日、仕事帰りにそこを覗いてみると、カラスは少し小さくなって死んでいた。早くも無数の蠅や羽虫がたかっている。サムライ&ブルーはちょっと 離れたところでサッカーをしている。きっとあの子たちもこれを見たんだ。

 そこへ同僚の中でも面倒見がいいことで定評のあるT橋くんがチャリに乗って通りかかった。

「ああ、例のカラスですか、どうなったんです?」

顎でカラスの死体を指す。
いつの間にかブルーが隣に立っている。

「昨日の今日でもう死んじゃったんだよ」

「競走馬も足が折れると、すぐ死んじゃうっていいますからね」

とさわやかな笑顔で鬼のようなことを言って、帰っていくT橋くんの背に石を投げようとしたおれをブルーが止める。

Photo_3
 今、全然うんちくとか要らない。グスン。

 後から調べたところでは、野生の動物の場合、獣医によってはタダで見てくれたりもするらしいけど、カラスや鳩の負傷は珍しくなく、拒否されるこ ともありありとか。
 でもあんまり野性動物に感情移入しない方がいいのかも。サムライ&ブルーも心ない大人たちの態度からそういう処世術を学んだに違いない。そんな ことに一々心を痛めてたら自殺者が3万人もいる国でサバイブしていけないからね。頑張れ、サムライ&ブルーよ!

| | トラックバック (0)

立ち乗りソフトSM

 値下げ競争が加熱してここまできたか・・・。旅客機にこういうシートが登場するらしい。
Photo_2
短時間のフライトに限るということだけど、この微妙な角度はソフトSM?
 これ・・・いわゆる空気イス状態じゃないすか。なんか太ももがぷるぷる震えてきそうだし、前から見たら教室の後ろの方に立たされてる人みたいで、空港でスーツケースと一緒にプライドも預けてこないと乗るのは困難かと。
 それからこの立ち乗りシートの直前の席に乗る人は相当落ち着かないはず。常に似め後方から妬みのたっぷりこもった視線で後頭部をジリジリと照射されること請け合いだし、シートを倒すのにも細心の注意が必要。
「あの、差し支えなければシートを倒させて頂けませんか?」
ぐらい言わないと、立ち乗り最前列で恥辱の極みにある客からひざ蹴りをくらいかねない。
 もういっそのこと、電車の吊り革を2つ吊るしてシートなしとか、赤ちゃんのおんぶ紐みたいなのでブランコ状に吊るすとか発想の転換が必要な気がする。ま、乱気流にはまったら真っ先に投げ出されるけど。そうか、危機管理上のことも考えないといけないのか。わかった!もうネットですまきにして、蓑虫みたいに吊るす。
Photo
 飲み食 い不可、雑誌も映画も無理。機内が揺れればみんな揃ってブラーんブラーん。
どうでしょうか?そこまですると金が取れないか…。

| | トラックバック (0)

コオリ昭浩「妻の裸は夫のもの・・・」

 参院選愛媛選挙区のコオリ昭浩は泡沫候補(とうてい当選する見込みのない候補者)の中でも一際異彩を放っている。
 公約の一つ目は、小沢一郎を国政から排除すること。これはわかる。
 問題は二つ目。

【児童ポルノ禁止法案の成立。その法益(法律をつくってでも守らなければならない利益と人権)とは、『妻の裸は夫のもの、夫の裸は妻のもの』従って結婚する直前の男女に対し、「私達はあなたがたの裸はそれぞれの配偶者となるものの為に守り抜きましたよ」と祝福できるような善良な管理者があふれるような社会を目指します。】
 なんか悪文の見本のような文章。要素が多すぎる上に、長文だからなおさら意味がわからない。
 つまり、こういうことか。

【児童ポルノ禁止法案を成立の目的は以下の通り。人の裸は本来その配偶者だけが見るべきもの。だから、まだ裸を他人に見せるべきでない未婚の男女に対して周囲の大人たちが「児童ポルノ禁止法案のおかげであなた方の裸は配偶者以外の人に見られなくて済んだよ。おめでとう。(結婚して思う存分見まくってね)」と祝福してやれるような健全社会を目指すため。】

 む・・・・今時結婚するまで裸を人に見られないっていうのもいかがなものか。幼児期から結婚するまで長期間にわたって周りの“善良な管理者”たちが裸を見せないように守ってるってすごく恐い社会に感じるのは気のせいでしょうか。この人の政見放送が見たい。

 ※有名な泡沫候補・・・マック赤坂、又吉イエス、昔だと奥崎謙三、赤尾敏など

【過去の伝説的政見放送】 

 又吉イエス

マック赤坂

 

赤尾敏

 

| | トラックバック (0)

« 2010年6月 | トップページ | 2010年8月 »