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2011年7月

赤裸々な申告

 母の友人が初めて海外旅行をした時、入国審査カードのSEX(性別)欄に「2」と書いて現地の審査官にゲラゲラ笑われたらしい。

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子どもの頃はみんな

 友達の子どもの話。
 ある朝、子どもを幼稚園に送っていく時、子どもが言った。
「今日は避難訓練があるんだよ」
「え、本当?そんな話聞いてないよ」と母親。
「だってあるんだもん」
釈然としないまま子どもを送り届けた。午後、尋常じゃない揺れ。念の為、幼稚園に電話すると、全員無事とのこと。
 夕方、子どもを迎えに行くと、子どもが得意そうに言った。
「防災頭巾被ったよ。だから言ったでしょ?」
 それが3月11日のこと。

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よくそのへんにある危機

 

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 駅のホームに降りると、ちょうど電車が行ったばかりだった。本を読もうとベンチまで歩いて行くと、ベンチのすぐ横にゲロがあった。そこから一番離れた席に座って本を開いた。
  電車到着のアナウンスを聞いて顔を上げると、ぞっとするような光景が目に飛び込んできた。さっきのゲロのすぐ前に若い女の子が立っている。ケータイをいじるのに夢中で至近距離にゲロがあることに全く気づいていない。ホームにはちらほら人がいて、女の周りだけ結界が張られたように人が寄りつかないのを見れば、他に気づいている人もいるはずなのに、誰も教えてやる気配はない。
 これがいわゆる「都会の無関心が悲劇を生むケース」なのだなと思って立ち上がった時、そこの前を急ぎ足のサラリーマンが通り過ぎた。女の足が反射的に半歩下がった。もうゲロまで1センチほどで一刻の猶予もない。
 ぼくはその場で女に怒鳴った。
「危ない!もっと前!」
 女が弾かれたようにケータイから顔をあげ、後ずさりした。
 女は足元の地獄を見て、ぼくは神を呪って天を仰いだ。

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建築現場のジャッキー・チェン

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 マンションの防水工事の仕事をしているTから聞いた話。
 Tは休日には必ずゴルフやサーフィンに行くようなスポーツマンで運動神経抜群。酔うと地下鉄入り口の屋根に飛び乗るようなヤンチャな男。
 ある日、休憩中にヒマを持て余したTは、現場にあるもので遊ぼうと考えた。屋上にはいくつかのロープがとぐろを巻いている。その端は屋上に埋め込まれた金具につながっている。Tは6階建てのマンションの高さとロープの長さを見比べて明らかにロープの方が短いことを確認すると、おもむろにロープの端をつかんで足場の外側に飛び降りた。重力から解放された時特有の足がムズムズするような間隔。内蔵が持ち上がるような不快感・・・それがずいぶん長く・・・続いてるよ・・・ヤバい‼
 そこから時の経過がスローモーションになった。どこかから「T!」と叫ぶ同僚の声が聞こえた。
 Tは足場の周りに張られたネットをつかんだが、落下の勢いが強過ぎて大きく裂けてしまい、スピードは落ちたもののさらに落下し続けた。もう片方の手で足場のパイプをつかもうと手を伸ばしたが、弾かれた。足場に体をぶつけたりネットに絡まったりしながら背中から地面に落ちた。
「大丈夫か!」
 同僚や職人たちが血相変えて駆け寄ってくる。ちょっとの間、落ちた衝撃で息ができなかったものの、幸い一命をとりとめた。しかもほとんど無傷で。
 後で屋上に上がってみると、飛び降りた場所の金具に結んであったのは隣にあったロープでTがつかんだロープはその上にただ載っていただけだったという。

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アニマルコミュニケーター

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 コミュ力ゼロでふだんから人間関係に悩んでいる友達のMは動物にはめっぽう好かれるタイプ。
 夜中、Mがアパートに帰ると、部屋の前で最近餌付けし始めた野良猫のトラが待っていた。
「お腹空いたの?」
いつもならしおらしくニャーニャー鳴くところが何か思い詰めたような顔。ドアを開けても部屋に入ってこようとしない。
「じゃあ、ごはんあげないよ」
ドアを閉めようとすると、後ろを振り返りながら歩き出した。まるでついて来いとでも言うように。外に出るとトラは静まりかえった住宅街を歩き出した。袋小路から私道を抜けてショートカットしたり、人の家の敷地や雑草伸び放題の空き地も通った。そんな調子で猫道を歩いて辿り着いたのは人気のない小さな公園だった。
 公園には野良猫が十匹ほど集まっていた。特にじゃれたり、鳴きあってるわけでもない。ただ互いに感応し合ってるような雰囲気だけがある。
 トラの後から入っていくと、猫たちが一斉に見つめてきた。トラがほかの猫たちの前をぐるりと回ってからMを見た。それで自分が猫たちに紹介されたのだと思った。そうだとして、なぜ自分が呼ばれたのか。猫の集会に人間を呼ぶからにはきっと何か切実な理由があるはずだ。もしかしてトラに頻繁にマタタビをあげていることが伝わっているのかもしれない。「こいつは話が早い人間だ」などと。とすれば、野良猫たちの抱える問題について猫と人間との仲立ちを求められていることも考えられる。たとえば保健所が野良猫を駆除することや、それを防ぐために猫好きの人が無理矢理去勢手術することなんかに対する「猫の主張」を聞き届けるために呼ばれたのではないか、そんなことを考えた。
 猫たちは所在なく立ち尽くしているMを尻目に体を擦りながらすれ違ったり、急にケンカを始めたり、あらぬ所を一心に見つめたりして、特にアプローチしてくるわけではなかった。トラはトラでたまにMをガン見するほかは特に何も訴えてはこなかった。そうこうするうち、猫たちは一匹、また一匹と去って、トラも他の猫について行ってしまった。Mは首を傾げながら家路を辿った。
 翌日以降もトラはMの家にエサをもらいに来たが、二度と集会に誘うことはなかった。Mは話の最後につぶやいた。
「あたし、何で呼ばれたんだろう」

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いまだかつてない喘ぎ

 どういうわけか変態に遭遇すること多し。先日は区営プールでした。思えば、泳いでる時から普通じゃなかった。中級者以上を対象にしたクロールの周回コースで、やたら水面にバチンバチン手を叩きつけながらフルスピードで泳いでる男がその人だった。 隣の歩行者専用コースを悠然と歩いている熟女の顔に水しぶきがかっている。
 男はほとんど休みなくクイックターンを繰り返して休むことをしない。泳ぐのをやめると死ぬマグロを連想してしまう。一時間後、更衣室で着替えていると、さっきのマグロがでてきた。
「あっ、はぁ、んあ、ぅあ、あ、ふあ、あっ、あっ・・・」
 マグロは肩で息をするというか体全体でもの凄い過呼吸ぶり。声に出しているようなはっきりとした喘ぎ声。更衣室の中に、いや外にも響き渡っている。区営プールだから小さい女の子もおばあさんももちろん外をぶらついているのに。
「おあ、んあ、っあ、はあ、ふあ、ほあ、」
うるさいよ。と言いたくなるが、怖いのでなるべく関わらないようにする。
 マグロはキャップと競泳水着を抜いで生まれたままの姿を惜しげもなく披露。そのまま更衣室の壁に両手をついて大股開きの間から干からびたチ○コがブラブラしてる。
 水着脱水機を使おうと思って機械を見に行くと、既に脱水機が回っていて、とうに水は切れているはずなのに誰も止めに来ない。勝手に取り出してもいいが、そのうち取り出しにきてくれるだろうと思って待っていると、おれが待っているのに気づいたマグロが更衣室の奥に向かって言った。
「○○さん…んぁ、はっ、っは…脱水機…んあっ…中身…はっ、あ、…出さないと、ほら、後…っあ、はあ、…つかえてるから…」
マグロ!おれの中でマグロの評価が一段階上がった瞬間だった。でもお礼を言ったりはしなかった。ただ、黙って心の中で「マグロ、ありがとう」とつぶやいた。
        ◇
 その晩、寝る前に天井を見ながら考えた。もし自分が人間ではなく動物としてこの世に生まれてきたなら、たとえば、アフリカの国立公園のインパラとして生まれてきたなら一 生こんな同族の醜態を見ることはなかったんだろうな、ということ。もちろん鈍くさくてチーターがすぐそこまで来てるのに逃げ遅れて食われちゃうとかそういう間抜けな個体はいるだろう。でも動物だったらこういう見ていて恥ずかしくなるような、こういう妙なおかしみの漂う変態っていないんじゃないかなってことを思うともなく思った。よく眠れた。

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