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建築現場のジャッキー・チェン

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 マンションの防水工事の仕事をしているTから聞いた話。
 Tは休日には必ずゴルフやサーフィンに行くようなスポーツマンで運動神経抜群。酔うと地下鉄入り口の屋根に飛び乗るようなヤンチャな男。
 ある日、休憩中にヒマを持て余したTは、現場にあるもので遊ぼうと考えた。屋上にはいくつかのロープがとぐろを巻いている。その端は屋上に埋め込まれた金具につながっている。Tは6階建てのマンションの高さとロープの長さを見比べて明らかにロープの方が短いことを確認すると、おもむろにロープの端をつかんで足場の外側に飛び降りた。重力から解放された時特有の足がムズムズするような間隔。内蔵が持ち上がるような不快感・・・それがずいぶん長く・・・続いてるよ・・・ヤバい‼
 そこから時の経過がスローモーションになった。どこかから「T!」と叫ぶ同僚の声が聞こえた。
 Tは足場の周りに張られたネットをつかんだが、落下の勢いが強過ぎて大きく裂けてしまい、スピードは落ちたもののさらに落下し続けた。もう片方の手で足場のパイプをつかもうと手を伸ばしたが、弾かれた。足場に体をぶつけたりネットに絡まったりしながら背中から地面に落ちた。
「大丈夫か!」
 同僚や職人たちが血相変えて駆け寄ってくる。ちょっとの間、落ちた衝撃で息ができなかったものの、幸い一命をとりとめた。しかもほとんど無傷で。
 後で屋上に上がってみると、飛び降りた場所の金具に結んであったのは隣にあったロープでTがつかんだロープはその上にただ載っていただけだったという。

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