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2011年8月

ラインの花形

 

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 某大手製パンの工場でバイトをした時のこと。ぼくが任されたゴマ団子のラインには直径30センチのトレーがあり、白ゴマで満たされている。その上に幅10センチのベルトコンベアが伸びている。
 ラインが動き出すと、ベルトコンベアの上を団子が一定の間隔を空けて流れてくる。それと同時にゴマを載せたトレーがゆっくり回転し始める。トレーに落ちた団子の上面に手でゴマをまぶしてプラスチックの容器に載せる。それを後ろの包装ラインに流す。
 ただそれだけの仕事なのだが、作業を続けるうちに手袋がベタついてしまい、団子がなかなか離れないことがある。そういったロスタイムを吸収するためにトレーは回るようになっているのだが、一周するまでの猶予はほんの数秒。トレーが一周して団子の上に団子が重なると非常停止ボタンを押す。ラインが止まると、作業者たちの責めるような視線が注がれる。ダマになった団子を巨大なポリバケツに放り込む。手袋に片栗粉をつけながらやっているのだが、なかなかラインの速さについていけず、やっぱり団子を積み上げてしまう。
 とうとう適性がないと判断されたのか、ロールケーキのラインに配置転換された。幅一メートルの巨大プリンターのような機械からクリームのついたスポンジ生地がはき出されれてくる。ぼくは流れてきたスポンジ生地の下に手を入れてくるりんと丸める係だ。長い円柱形になったケーキはぼくの後ろで小さくカットされる。次から次へとくるりん、くるりんとケーキを巻いていく。失敗するとポリバケツに放り込む。
 ケーキを巻くのもゴマ団子のゴマまぶしもラインの中では一番花のあるポジションだった。

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