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軟派救命士の災難

 ある夏のこと、仕事で熊本に出張した。その日は移動日でまだ夕方だった。今からホテルに行ってもヒマだなと思っていたらレンタカーのカウンターにかわいい子が。ふだんはナンパなんてしないのになぜか声をかけている自分がいた。
「何時に終わるの? ちょっと観光に付き合ってくれない?」
すると、
「もう終わるけど、制服着替えたいから一旦ウチまで来てくれる?」
とすんなりOK。
 ぼくはワン!と一鳴きして彼女の車に乗り込んだ。着いた先は郊外の公営住宅。「散らかってるけど」と彼女がドアを開けると、わーわー歓声が上がり、三人のちびっ子たちが駆け出して来た。目が点になった。
 離婚して生活保護を受けながら育てているという。それならそれで楽しもうと、スーパーに買い出しに行ってカレーを作ってあげた。食べ終わってから遊んでいると一人だけ全然喋らない子がいる。
「この子どうしたの?」
「風邪ひいてるの」
額に手を当てるとすごい熱。
「病院連れて行こう。幼児の高熱は危ないよ」
「お金がないの」
「おれ出すから」
 救急病院の待合い室は行列ができていた。何時間も待って診察を受けると、医師から父親だと誤解され、「なんでもっと早く連れてこなかったんだ!」と怒られた。ホテルに着いたのは深夜3時。
 翌日仕事を終えてから彼女の家に寄り、シャワーを借りて普段着に着替えた。
 帰宅すると、熊本弁でキレキレのメールが届いた。
「人の女に何ばしよっと?・・・(罵詈雑言)」
 別れた元旦那からだった。濡れ衣だと伝えたが、ならばなぜズボンを脱ぐ必要があるのかと返信。・・・ズボンを脱衣場に忘れてた。着払いでいいから送ってと女にメールしたが、送ってくれなかった。

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