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ネパール人とぼくとローリエ

 ネパール人がやっている店に行った。スパイスや豆など、あちら系レストランに食材を卸している店だ。店内では男二人、女一人のネパール人(経営してる人たち)が世間話をしていた。
 ぼくはジンジャーパウダーはないかと訊いたついでに、つい先日、大阪でネパール人が殴る蹴るの暴行を受けて殺されたことに触れ、日本人代表としてなんだか申し訳ないと思い、その気持ちを伝えた。自分がネパールに旅した時に宿の主にとても親切にしてもらったことや、そこで毎晩手で食べたダルバートのおいしさを今でも覚えている、とも。 
 実際、ぼく自身は今までヒドいネパール人に会ったことがない。みな穏やかで親切だ。もちろんどこの国にだって色んな人がいるわけだが。
 店主に「なにか力になれることはないか」と訊くと、隣の男と顔を見合わせて「とくにない」と言う。
 「じゃあ、なんか日本で暮らして困ってること、日本人に訊かないとわからないこととかない?」と訊いた。意地でも役に立ちたかった。親切のごり押し。 
 少し考えて店主は「ヤザワ・・・」と言った。
 「え?」
 「“ヤザワ”なんで人気?わからない。ワタシ友達にも訊いた。でもみんなわからない。あの人すごい自分に自信ある。でも良さわからない。」
 ぼくは深く頷いて「“成り上がり”ってわかる?」と訊いた。
 すぐにDo you know NARIAGARI?と英語にしてみたが、肝心の“成り上がり”が英語じゃないので意味がなかった。そもそもネパール人は英語堪能じゃない。店主は頭を振った。ぼくはあっさりヤザワの良さを伝えることを諦めた。ぼく自身もよくわからないことを教えられない。
 スパイスの棚にローリエによく似た葉っぱがあった。袋に両手いっぱい詰まって百円だった。「これ何?」「ネパールでよく使う。香りつける。△◎○□と言います。」
 現地での呼び名を教えてくれたが聞き取れなかった。
 「ローリエじゃないの?」
 「違う。△◎○□。チャイとかカレーに入れる」
 やっぱり名前が聞き取れない。ぼくはその葉っぱとチャイの茶葉を買った。
 家に帰ってローリエとその葉っぱを見比べた。
 完全にローリエだった。

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