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2012年3月

かわいい子注意報

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 故・中島らもが昔エッセイで書いていたこと。ある動物学者がこんな仮説を唱えた。

  哺乳類の赤ちゃんというのは犬、猫、豚、なんにせよ無茶苦茶かわいい。もしかしてこの“かわいさ”は、あらゆる動物に対して有効な“かわいさ”なのではないか。その証拠に、しばしば人間以外の動物も哺乳類の子供を拾って育てていたという事例がある。自らの種の保存を最優先にして生きる野生動物が、他の種の子供を育てるのはかなり異常なことのはずだ。これはもはや“武器”と言っていいぐらいだ。
 つまり、哺乳類の赤ちゃんは自然界で生き延びるには余りにも弱く、長い間親がかりでそのままでは生存しにくい。だからある種の生物が生まれつき敵から身を守るための武器として猛毒を備えているように、哺乳類も“かわいさ”を備えているのではないか。かわいさで他の動物を腰砕けにして戦意を喪失させたり、母性本能を刺激するために。

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  このユニークな仮説を援用して、中島らもは「女性もかわいい子はたくさんいるが、自分は相手がただかわいいだけでは突進しない。なぜなら、そのかわいさは愚かさや病弱さなど生存上の大きな欠点を補うために備わっている長所かもしれないからだ。」というわけ。(中島らもってそんなに理性的な人じゃなかったはずだが・・・) 

 ま、冗談半分に言ってるわけだが、人間の場合、かわいいことで周囲から甘やかされてスポイルされてしまうことは往々にしてある。だから、自分のパートナーを選ぶ時に「かわいい子」をターゲットから除外できるなら、それに越したことはないかもしれない。
 かわいい子が外見でチヤホヤされるのもせいぜい二十代までだから、その後は人間力でサバイバルしなきゃいけない。
 ゲイを見てると思うが、苦境にある自分を笑い飛ばすユーモアのセンスや精神的タフさって、やっぱり虐げられたり、辛い目にあって修羅場をくぐり抜ける中で身についていくもののような気がする。それなのに人格形成期に人間力を磨くチャンスを持ちにくかったかわいい子たちは、かなりのハンデを背負ってることになる。
 だからかわいい子って結局、トータルではものすごい損をしてて、可哀想なんだよな。やっぱりおれが守ってあげないと・・・。
 こうして世の男たちは今日も術中にハマっているわけです。

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40キロ地点のふたり

 Q
 マラソン金メダリストのQちゃんこと高橋尚子が16日、結婚前提の交際相手との進展を訊かれて、「(マラソンにたとえると)40キロ地点に来ているのではないでしょうか」と語り、結婚が秒読み段階であることを明かした。
 さらにQちゃんは「この先、失速しないように、ゴールに入るまで何が起こるか分からない」とか、「プライベートでのペースメーカーは?」との問いに「どちらかが先を歩いてるわけではなく、ともに歩んでるという感じです。」とも答えた。付き合いのいい人だ。
 ぼくはこのニュースを見て、これはリポーターが「マラソンにたとえると、どのあたりでしょう?」みたいな質問をしたからこんな答え方をしたのだろうと思った。芸能リポーターが「~にたとえるとどうでしょう?」といった質問をするのはよくあることだから。逆に、もう何度もそういう質問を受けていて、今では注文されなくてもあらゆることをマラソンにたとえて考える癖ができているのかも。
 もしぼくがQちゃんだったら「なんでいつもマラソンにたとえないといけないんですか(怒)」ぐらいのことは一度言うと思う。
 リポーターがアスリートに「たとえコメント」を求める理由にはいくつかあるだろう。

1.タレントと違ってインタビューなれしていない人もいるため、万人にわかりやすいコメントを引き出したい。
2.くだけたニュアンスを醸しだすことでネタとしての価値を少しでも余計に盛りたい。
※この場合だと、「いつ頃ご結婚を?」と訊いて、答えが「むこう半年以内には」だと無味乾燥すぎる。
3.業界の慣例になっている。

 Qちゃんはこれから引退、出産、離婚など人生の節目ごとにマラソンにたとえた表現を考え続けなければいけないわけで、他のスポーツと違って単調なマラソンでどれだけコメントし切れるだろうかと心配だ。もうネタは尽きているようにも思える。
 たとえば、将来、Qちゃんが離婚した場合、こんなやりとりが予想される。

 リポーター:「今の気分をマラソンにたとえてお願いします。」
 Qちゃん:「今にして思えば、彼は通過点に過ぎなかったのかもしれません」
 リポーター:「すみません。もう少し具体的にお願いします」
 Qちゃん:「給水所…でしょうか」

 このようにして無理矢理マラソンにたとえさせられたせいで、憎んでもいない相手をこき下ろす結果になり、関係が余計にこじれたりしそうだ。「金輪際マラソンにたとえたコメントはしません」とマスコミ各社にファックスすることを強く勧めたい。

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限りなく黒に近いグレー

 友達のKが自転車同士の事故で転び、脇腹を痛めて病院に行った。そこはマッサージや電流治療に保険が効く整形外科で、近所では行列のできるクリニックとして有名。マッサージをする前に「保険適用のため、診断書には脱臼治療と書きます」と言うブラックな医者。
 レントゲンを撮ると、肋骨にヒビが。
 医師「大人しくして様子を見るしかないですね」
 K「どうせ相手の保険なんで、なんかできることないですか?」
 医師「…患部周りのマッサージぐらいしかできませんけど。ウチはいつ来て頂いてもかまいませんよ」
 「整形外科よ、お主も悪よのう」と思いつつKは数回通院した。
 その日、支払いを済ませて「次回のご予約は?」と訊かれ、「もう今日が最後で。お世話さまでした」と出口に向かう時、後ろから商売人の声を聞いた。
 「ありがとうございました」
 “お大事に”だろ!

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