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2012年4月

井上家の闘争

 そのゴミが井上家の前にあるのを見たのは、17日の朝だった。
 夜、帰宅した時もゴミはそこにあった。清掃局の職員が貼ったのだろう。黄色いシールが貼ってあった。
 「分別して下さい。分別されていないゴミは収集できません」
 18日の朝になると、清掃局のシールに答えるように紙が貼られていた。
 「持ち主不明」
 赤文字であるところに書いた人(おそらく井上)の怒りが表れている。
 19日の夜になると、「持ち主不明」の紙に重ねる形でまた貼り紙があった。
 「うちのゴミではありません 4/19 井上」
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 筆跡を見れば、やはり「持ち主不明」の貼り紙が井上によるものだとわかる。井上は18日から19日にかけて成長している。このままでは近所から誤解されて白い目で見られるのではないか、などと考えたのだろう。「やはり記名しかない」と決意したのに違いない。
 
 20日になって事態は急展開を見せる。孤軍奮闘の井上家に援軍が現れたのだ。その貼り紙にはこう書かれていた。
 「井上家のゴミ出しは模範的です。今だに出し手が持ち帰らぬところを見ると、他地区からの投げ込みと思われます。 4/20 局殿」
 井上の実直な生活が報われたのだ。
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 近所づきあいがなくなり、孤独死などが社会問題化しているが、この匿名の援軍のようにこっそりと隣人を見ている人は多い。私も「左巻きがそんなゴミ出しをするはずがない」と証言してもらえるように分別には妥協したくない。

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