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1と2と3

 友達の通っていた女子高は1クラス50人で一学年が22クラスの超マンモス校。毎年夏休みが終わるたびに生徒が減り、三年の卒業までに計5クラス分が中退するというステキな学校。中でも校舎の端に隔離された一組から五組までは生粋のヤンキーだけが集められたクラス。
 その選抜クラスで夏休みの迫ったある日、授業の合間の休み時間にそれは始まった。
 突然、ビキニ姿の生徒が教室に飛び込んできて言った。
「これが1ね!」
 声が明るく弾んでいる。一瞬の沈黙の後、教室中が騒然となった。彼女はモデルのように教壇の端まで歩くと出て行った。隣の教室から「これが1ね!」という声が聞こえた。数分後、別のビキニを着た彼女が戻ってきた。
「これが2!」
 同じように歩いてから出て行く。
 数分後、また別なデザインのビキニを着て戻ってきた。
「これが3!」
 他の生徒たちの会話から、彼女がデートに備えて友達に水着を持ち寄らせたのだとわかる。 
「1が良かった人ー」
 何本か手が挙がる。
「2が良かった人ー」
 声のトーンがいくぶん落ちた。
 また何本か手が挙がる。
「3が良かった人ー」
 声のトーンがだいぶ落ちた。
 何本か手が挙がるが、全部合わせても全体の三分の二に満たない。
 授業開始のチャイムが鳴った。
 顔をしかめた彼女がドスの利いた声で言った。
「どれにも手挙げなかったやつー」
 誰も手を挙げない。
「おめえら、ナメてんのか、あ?」
 その時、教師が入ってきた。

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