つっこみ

いまだかつてない喘ぎ

 どういうわけか変態に遭遇すること多し。先日は区営プールでした。思えば、泳いでる時から普通じゃなかった。中級者以上を対象にしたクロールの周回コースで、やたら水面にバチンバチン手を叩きつけながらフルスピードで泳いでる男がその人だった。 隣の歩行者専用コースを悠然と歩いている熟女の顔に水しぶきがかっている。
 男はほとんど休みなくクイックターンを繰り返して休むことをしない。泳ぐのをやめると死ぬマグロを連想してしまう。一時間後、更衣室で着替えていると、さっきのマグロがでてきた。
「あっ、はぁ、んあ、ぅあ、あ、ふあ、あっ、あっ・・・」
 マグロは肩で息をするというか体全体でもの凄い過呼吸ぶり。声に出しているようなはっきりとした喘ぎ声。更衣室の中に、いや外にも響き渡っている。区営プールだから小さい女の子もおばあさんももちろん外をぶらついているのに。
「おあ、んあ、っあ、はあ、ふあ、ほあ、」
うるさいよ。と言いたくなるが、怖いのでなるべく関わらないようにする。
 マグロはキャップと競泳水着を抜いで生まれたままの姿を惜しげもなく披露。そのまま更衣室の壁に両手をついて大股開きの間から干からびたチ○コがブラブラしてる。
 水着脱水機を使おうと思って機械を見に行くと、既に脱水機が回っていて、とうに水は切れているはずなのに誰も止めに来ない。勝手に取り出してもいいが、そのうち取り出しにきてくれるだろうと思って待っていると、おれが待っているのに気づいたマグロが更衣室の奥に向かって言った。
「○○さん…んぁ、はっ、っは…脱水機…んあっ…中身…はっ、あ、…出さないと、ほら、後…っあ、はあ、…つかえてるから…」
マグロ!おれの中でマグロの評価が一段階上がった瞬間だった。でもお礼を言ったりはしなかった。ただ、黙って心の中で「マグロ、ありがとう」とつぶやいた。
        ◇
 その晩、寝る前に天井を見ながら考えた。もし自分が人間ではなく動物としてこの世に生まれてきたなら、たとえば、アフリカの国立公園のインパラとして生まれてきたなら一 生こんな同族の醜態を見ることはなかったんだろうな、ということ。もちろん鈍くさくてチーターがすぐそこまで来てるのに逃げ遅れて食われちゃうとかそういう間抜けな個体はいるだろう。でも動物だったらこういう見ていて恥ずかしくなるような、こういう妙なおかしみの漂う変態っていないんじゃないかなってことを思うともなく思った。よく眠れた。

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ここが変だよ、マイケル!

 通勤中、山手線の車内でついこないだまでしょっちゅう見ていた広告がある。色づかいが派手で黒地にピンクで、いかにも毒持ってる爬虫類を彷彿とさせるので、それでつい見てしまうせいもあるが、何よりキャッチコピーのインパクトがすごい。

-私は7歳の時、父に母を殺され、誰とも話せなくなりました-

 思わず息を飲んでしまう。そりゃ、人間不信になるよ、マイケル、キミでなくても・・・
 

 で、よくよく読んでみると、なんてこたぁない自己啓発本の宣伝で、要するにポジティブシンキングで成功しようとか、人を思い通りに動かそうとかそういうアレなわけです。著者のマイケル・ボルダックのエピソードが本当だとすれば、こんなに深刻な人間不信になりやすい人っていないわけで、その人が説くコミュニケーションスキルってどんなだろ?と興味が湧かなくもないが・・・ないが・・・

 普通、こんな生い立ちだと大人になってもっとボランティア色の強い仕事をしたりしそうだけど、思いっきりリアリストなところがアメリカ人だなーと感心。元とらないとね、成功して。

-1063人の収入をわずか60日で41%増加させた-

とかものすごく現世利益ばりばりなところが笑える。この中途半端な数字がまたいい。リアリティを感じそうで感じない。だいたい60日で半分収入上がるってどんな職場だよ、マイケル・・・

 しかも分母がわからない。10万人レクチャーしたうちの1063人かもしれないしな・・・

ま、百聞は一見に如かずと言うから、そのご尊顔を見てみよう。

後は各自判断してほしい。

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やっぱ怪しいわ。

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立ち乗りソフトSM

 値下げ競争が加熱してここまできたか・・・。旅客機にこういうシートが登場するらしい。
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短時間のフライトに限るということだけど、この微妙な角度はソフトSM?
 これ・・・いわゆる空気イス状態じゃないすか。なんか太ももがぷるぷる震えてきそうだし、前から見たら教室の後ろの方に立たされてる人みたいで、空港でスーツケースと一緒にプライドも預けてこないと乗るのは困難かと。
 それからこの立ち乗りシートの直前の席に乗る人は相当落ち着かないはず。常に似め後方から妬みのたっぷりこもった視線で後頭部をジリジリと照射されること請け合いだし、シートを倒すのにも細心の注意が必要。
「あの、差し支えなければシートを倒させて頂けませんか?」
ぐらい言わないと、立ち乗り最前列で恥辱の極みにある客からひざ蹴りをくらいかねない。
 もういっそのこと、電車の吊り革を2つ吊るしてシートなしとか、赤ちゃんのおんぶ紐みたいなのでブランコ状に吊るすとか発想の転換が必要な気がする。ま、乱気流にはまったら真っ先に投げ出されるけど。そうか、危機管理上のことも考えないといけないのか。わかった!もうネットですまきにして、蓑虫みたいに吊るす。
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 飲み食 い不可、雑誌も映画も無理。機内が揺れればみんな揃ってブラーんブラーん。
どうでしょうか?そこまですると金が取れないか…。

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晴れたような気持ち

横綱朝青龍、有終の美を飾る。

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知人男性に暴行したとされる問題で、理事会に召喚されていた朝青龍だが、ついに年貢の納め時となった。まあ、たんまり稼いだし、ほんとに好き放題やったし、日本の世論は過敏だし、相撲協会はうざいし、タイミングとしては良かったんだろうね。力士としてはまだやれそうだけど。

“「いろいろお世話になりました。引退します。世間をいろいろ騒がせた。今は晴れたような気持ち」と述べた。”

ということで勝手に晴れやかな気持ちになっている朝青龍だが、被害者は鼻骨折してんだよね、金で示談になったけど・・・

しかも、殴られた男は

「横綱、頑張ってください」

と声を掛けただけなのに、泥酔していたらしい朝青龍が

「オレに頑張れとは何だ!!」

と激怒して殴ったという。

これって、逆ギレというのでは・・・

ま、朝青龍にしてみれば、

「おめえに言われなくても相撲協会だの、親方衆だのにやんや言われながら、無茶苦茶頑張ってるわい!」

ということだったのでしょうが。
しかし、最後も優勝してるし、なんかほんとに憎まれっ子世にはばかるというか。あっぱれな感じです。
日本のようなせせこましい国には合わないパーソナリティなんだよ、ハナっからさ。
国技をやる奴は相応の人格者じゃなきゃいけないというなら、あの北の湖なんかどうなんの、マフィアと変わらないでしょ。

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ぼくとしては、出る杭を打つのが好きな日本人と戦った労をねぎらって、

「朝青龍、お疲れさん」

と肩でも叩いてやりたい。でも、

「おれに“お疲れ”とはなんだ!」

と殴られそうなので直接は言わないでおこう・・・

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嫌いな色

 「なんか面白いことないかなー」と思っていた夜更け。突如、けたたましいエンジン音がマンション下の道路から聞こえた。ベランダから下を覗くと二人乗りのビッグスクーターがちょうど止まったところだった。

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 4階建てのマンションの3階に住んでいるのだが、一階がコンビニでベランダから見下ろす道はコンビニの裏手にあたり、不要な段ボールやゴミをストックしておくスペースがある。コンビニに近く、適当なスペースがあり、マンション入り口の階段がベンチ代わりになるので色んな人が“たまる”場所だ。
 日中であれば外回りの営業マン、近所の現場で働いている大工、左官屋、ガードマン、ネズミ取りのお巡り、昼間からワンカップを飲む場所を探しているアル中、コンビニで買ったジャンクフードを食う部活帰りの高校生、同じマンションに住んでいる金髪の女子高生とその悪友など。
 これまで観察してきた“たまる人々”はバラエティに富んでいる。こっちも出不精なのでヒマを持て余してそんな人たちを観察してることが多い。2階の高さまでなら道を歩く人の視野に入るが、3階から上はあえて見上げないと目に入らないようだ。堂々とベランダから覗き込んでいても大きな音を立てない限り、気づかれる心配はない。

そこでベランダから身を乗り出して下を見てみると・・・

女:「わざわざ送ってくれてありがとう。それじゃ・・・」

女がバイクの後ろから降りてヘルメットを脱いだ。さらさらのロングヘアがダメージケアシャンプーのCMさながらにほどけて肩にかかった。真上からのアングルなので顔はよく見えない。が、それが一層覗き見の想像力をかき立てる。辺りが静かな分、昼間なら聞こえない普通の話し声が狭い路地に反響してよく聞こえる。
男は慌ててヘルメットを脱ぐと言った。

男:「あ、ちょっと飲み物買ってくるよ。何がいい?」
女:「え?」
男:「ちょっとだけ話さない?ここだったらちょうどいいし」

「万が一ムードが良くなった場合にはキスもできるしな」と心の中でつっこみを入れた。女はただ「いいトモダチ」に送ってもらったつもりだが、男の方はこれを機になんとかして関係を密なものにしたいと思っているに違いない。そんながぶり寄りモードのオーラが男の全身から漂っている。

女:「じゃあ冷たいお茶。」
男:「OK」

男は軽い足取りでコンビニへ去っていった。
「カモがネギしょってやってきたぞ」
 覗きがいのある二人が登場してくれてうれしい。

 男は戻ってくると他愛もない世間話をはじめた。話を聞いていると二人は大学生で何らかの軟派系サークルの先輩後輩という関係らしい。ところがこの男というのが実に煮え切らない奴で、話が冗長で異常につまらない。話下手だから何とか間を持たせようとして女にあれこれ取るに足らない質問をするのだが、そのレスポンスを突破口にして敵陣深く切り込んでいくことが全くできないので、いつまでたっても会話のボルテージは上がらず、老人ホームの茶飲み話のごとく盗み聞きしていてもちっとも面白くないのである。

 女は根がやさしい性格なのか、退屈している様子がありありと見えるのにもかかわらず「じゃあ帰るね」の一言がなかなか言えず、とうとう体を掻き出した。しかもいろんなところを掻いている。つきあって長い二人や同棲しているカップルの女が体を掻いているなら話は別だが、女がそれほど親しくない男の前で体をポリポリ掻いているのは明らかに相手のことが眼中にないというサインだろう。相当退屈しないとこのリアクションは出ないと思う。

 男はそんな女心がまったく読めないようで、雑誌かテレビの受け売り丸出しの「ダイエット成功の秘訣」みたいな、今ここでする必要の全くない薀蓄トークを展開している。聞いていてだんだんイライラしてきた。よっぽど女に、
「『つまんないから帰る!』って言っちゃえ」
などとけしかけたかったが最後まで見届けようと踏みとどまった。何しろ相手のことは何も知らないのにこちらの居所だけが知られて、しかも恨まれるというのはかなり怖いシチュエーションだ。つい数日前も夜中にたむろしているガキがあんまりうるさいので、ベランダから水をかけて隠れたところ、室内の電気がついている部屋が自分の部屋しかなかったので、「あそこじゃね?」とバレて肝を冷やしたばかりなのだ。幸い大事には至らなかったが。 

 男は今度は占いの話をはじめた。女の手をとって「これが運命線で云々」などと言いながらいつまでも触っている。多分さりげないスキンシップによって「親密さアップ!」とか思っているのだろう。もういい加減、当事者以上にイライラしていたぼくは何とか一矢報いるチャンスはないものかと虎視眈々と身構えていた。

 すると、男は今度は「深層心理のテストをしてあげる」と言い出した。

男:「ところで嫌いな色をひとつだけ挙げるとしたら何色?」

(今だ!)おれは夜道に浮かび上がる男の愛車・黄色いマジェスティを見ながら、大声で叫んだ。
「黄色!」

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